【産業天気図・化学】石油化学、電子材料ともに数量停滞で09年度前半は「雨」、後半は「曇り」。事業構造見直し迫られる年に
石油化学事業も当然厳しい。3月16日発売の「会社四季報」春号では、先述の昭和電工、住友化学に加え三菱ケミカルホールディングス<4188>、三井化学<4183>、旭化成<3407>、東ソー<4042>ら大手総合化学7社の09年度の業績が、7社とも通期で大幅赤字になると予想としている。三菱ケミカル、住友化学、旭化成は非石化事業である医薬での安定貢献が見込めるが、業績の下支えとはならないだろう。
石化は足元では中国需要の立ち上がりで合繊原料、合成樹脂等の販売価格に上向き感はあるが、一時的に在庫補充をするための当用買いである公算が高い。後半にやや数量の回復を見込んで「曇り」としているが、こちらも緩慢な動きが予想される。石化事業は構造的に供給過剰の体質を持っているため、ユーザー需要が減退する局面では他の素材業界と比べても落ちこみが大きい。期中での石化コンビナート再編は必至だろう。
石油化学事業と非石油化学事業である電子材料の両輪で収益拡大を図ってきた化学業界。ただ、「石化はもともと過当競争のうえ、09年度は中東勢の低価格攻勢が本格化してくる。電材も一部製品を除きコモディティ(汎用)化が著しいため、採算確保が難しくなってきた」(化学アナリスト)という見方もある。期待されるのは太陽電池、リチウムイオン電池向け材料などの成長性が高い「エコ素材」だが、「まだまだ業績に占める売り上げ、利益の貢献度は低い」(同)。
こうした状況のなか、09年度はどの事業を今後の収益柱とするか、見直しを迫られる年となりそうだ。大手、中堅かかわらず、不採算事業の撤退を含め、抜本的な構造改革が必要になることは間違いない。
(二階堂 遼馬)
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