学歴主義が廃れる時代に子どもを育てる心得 介入は最小限にとどめ、自らも学べ

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家庭において、親はどのように子供の教育にかかわればよいのだろうか
これからの社会にはどのようなスキルが求められるのか、またそれを子供に身につけさせる教育の状況はどうなっているのか。12月6日に配信した「日本が世界に劣る『中高教育に潜む弱点』」では、21世紀型スキルを育むために公教育に求められる役割について、東京大学大学院 情報学環 学際情報学府の山内祐平教授との対談インタビューをお届けした。
学校のシステムが整うには長い時間を要する。その間は学校外でICT(情報通信技術)を用いた学びを自覚的に行い、多くの人と交わる中でコミュニケーション能力やリテラシーを磨くという観点が必要であり、親自身の意識変容も鍵、というのが前回の結論だ。
では、学校外でも特に家庭において親がどのように子供の教育にかかわればよいのか。さらに詳しく掘り下げてみたい。

知識を結びつける力の養成が求められる。

加藤エルテス 聡志(以下、加藤):私事で恐縮ですが、先月までシリコンバレーに子会社をつくりに行っていて、向こうのジョブフェア(就職説明会)に出る機会があったんです。そこで出会ったエンジニアにプロフィールカードのようなものを見せてもらうと、卒業した大学名は書いてなくて、UCバークレーやスタンフォードのショートプログラムで選択したコースや成績を書いていて驚きました。Hadoopと分散処理技術のコースでAでした、PythonプログラミングコースでA+でした、という具合です。それだけでも日本とは違うものを感じました。

山内 祐平(以下、山内):学歴ではなく、「学習歴」が問われる社会にシフトしつつあるということでしょう。私が担当しているMOOC(大規模公開オンライン講座)の学習プログラムも成績が付き、その講座の修了証をLinkedinに貼り付けられるようになっています。最近は転職に利用されるケースも増えてきているようです。

どの大学を卒業したかではなく、具体的に何ができるようになったのかについて、学習内容と成績から推定する「パフォーマンスベース」の評価に徐々にシフトしつつあると感じます。大学を卒業すること自体が本来の目的ではなかったはずですので、この変化はよいことだと思います。

加藤:同感です。「大学も学部も聞かれない」という話も聞きました。

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