山内:子供は一人ひとり違いますので、あらゆる子供の成長を助けるための魔法のような方法はないと思います。ただ、さまざまな研究が幼児期の学習の重要性を示唆しています。7歳ぐらいまでにものの考え方や興味、関心などの基盤が築かれるためです。
この年代に自分が好きなもの、つまり「核になるもの」を発見させてあげることは意識してもよいでしょう。核となるものは子供によって違います。テクノロジーが好きな子もいれば、サッカーが好きな子もいます。何か核になる「これが好きだ」というものを幼児期に見つけていれば、その核をきっかけにしながらいろいろな展開ができます。だから、好きなものを見つけて、それに関係するような成功経験を子供に持たせることは重要な意味を持つと思います。
加藤:好きなものを見つけて、それで成功してもっとそれが好きになる。「好きこそ物の上手なれ」の好循環が生まれますね。
山内:そうですね。幼児の学習というと早い時期から「お勉強」させることを思い浮かべられるかもしれませんが、最近の研究では、情動を制御し、他者と協調しながら目標の達成に向かうための非認知的能力の重要性が明らかになってきており、社会情動的学習(Social Emotional Learning)と呼ばれています。好きなものは我慢する心を育てる土壌になりますし、ほかの子供と一緒にやったことが成功すれば、チームで学び、仕事をする基盤につながるでしょう。
子供の教育に親はどうかかわるか
加藤:核になるものに出会う手伝いを親がしてあげる、という観点で少し気になっている事があります。RISUでさまざまな保護者の方に接する機会があるのですが、子供が接する情報を、親が完全にコントロールしようとしているケースが目につきます。子供が少し難しいナショナルジオグラフィックなどの雑誌を見ていたら、「◯◯ちゃんはまだ漢字がわかんないからこっち読もうね」「この本は子供が読む本じゃないからダメよ」などと言って目の前で取り上げてしまう。代わりに先生が選んだオススメ本10選と紹介されている本を渡していました。そうした光景を見て、もどかしい気持ちになりました。
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