山内:なるほど。そういう押し付け型の親が加藤さんの目に留まったということですね。マルチメディア教材を親子に与えた場合に親がどう援助するかに関する研究があるのですが、親の子供に対するかかわり方に3タイプあることがわかっています。一つ目は、「口出しする親」です。「◯◯ちゃん、こっちが正解でしょ」といった感じで、子供をコントロール下に置き、親の言うとおりにやらないと気がすまないというタイプです。
加藤:私が気になっていたのはこのタイプの保護者のようですね。
山内:そうですね。そして二つ目が、「無視してしまう親」です。自分は雑誌とか読んでいて、子供が何かをしていてもチラッと見るだけで、勝手に遊ばせて放ったらかしてしまう。三つ目が、「子供の話を聞く親」です。指示して子供を操るのではなく、理由を聞いて子供と対話する親です。この最後のタイプがもっとも子供の可能性を引き出せることがわかっています。
相手の意思を尊重しながら、見えていない部分を補足
加藤:よい教師やよいファシリテーターにも該当しそうですね。
山内:そのとおりです。指示するのではなくて、その人がやりたいことを大事にしながら、その人が見えていないところを補足するような介入の仕方をするわけです。教育的には望ましいのですが、このような知見は親には知られていないため、こういう反応をする親は3分の1ぐらいしかいません。つまり6割ぐらいの親は過剰に介入してしまうか、放ったらかしになってしまうんです。
加藤:無視している親までは気づきませんでした。的確な介入ができている親って3人に1人ぐらいしかいないんですね。
山内:無視してしまうことの問題点は、子供を見ていないために完全に行き詰まった時に手を差し伸べられない点にあります。ただ、どちらかといえば口を出しすぎるほうが、子供の活動の展開を阻害します。これは無理じゃないかとはらはらするような場面でも、子供が面白がってやっているうちに乗り越えてしまうことも多いのです。暖かく見守り介入は最小限にとどめるほうが成長につながるでしょう。
加藤:過保護が問題視される場面もありますよね。でも、子供を思うが故の親の気持ちだと思うと難しいなと思います。
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