学歴主義が廃れる時代に子どもを育てる心得

介入は最小限にとどめ、自らも学べ

山内:グローバル化が進み、人材に求めるものが多様化している現代では、有名大学を卒業するだけでオールマイティにすべての仕事に対してのパスポートになるという価値観は廃れ始めてきています。これは有名大学のブランドがなくなるという話ではなく、学習の実態をより厳しく査定されるようになってきたということだと思います。「ハーバードを出ているから大丈夫」ではなく、本当に自社が求めている仕事ができる人材かどうかを見極めるようになってきたのでしょう。

加藤:世界の普遍的な基準であったはずの偏差値の高い大学に行けば安心という価値観が懐疑的にとらえられているということですね。

関係ないと思っていたことが、後々つながって、必要性が見えてくる

山内:価値観は時代によって変わっていきますからね。最近はイノベーションを大事にする企業が増えていますので、価値創造的な学習履歴のある学生の評価が高まっているように感じます。イノベーションを始めとする創造的活動はここ10年で研究が進んできていますが、何もないところから急に新しいアイデアが生まれるのではなく、潜在的に類似した構造を持つ別の領域を参考にすることによって、新しい図式が考え出されることが明らかになってきています。

一見すると関係ないように見えるが、課題に対するソリューションにつなげられるような知識を大量に保持していることは基礎研究に励んでいる大学の大きな資産です。それらの知識を結びつけて新しい価値を生み出すところまで学生を育てられれば、大学で学ぶ意味も明確になってくるでしょう。

加藤:目先での有用性だけで学問を測るという短絡思考を学生が持ってしまっているのは、もったいない話ですね。

山内:おっしゃるとおりです。たとえば、スティーブ・ジョブズがMacintoshにさまざまなフォントを搭載し、印刷物のような表現ができる機能を持たせたのは、大学中退後もぐりで受講していたカリグラフィー(文字芸術)の授業を思い出したことがきっかけだったそうです。全然関係ないと思っていたことが、後々つながって必要性が見えてくる――今後、大学はそんなポテンシャルを可視化していく必要があると思います。

核になるものを早い段階で発見させてあげる

加藤:つながるというテーマでいえば、今や田舎に暮らしていようとも、携帯電話があったら世界中の人や情報にアクセスできますよね。そういったインフラがある中で、ジョブズのカリグラフではないですが、「どうすればそういった雑学や幅広い知識を得ることに子供の興味を湧かせるか」ということに親は必死だと思いますが、どうすればうまくいくんでしょうか。

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