ちなみに、創業時のコンセプトはもう1つあった。店名にもなっている「神楽の舞」だ。
たとえばキッチンは、「神楽を舞っている舞台」をイメージしてオープンにし、「華麗にコックコートを着て、舞うように調理している姿を楽しんでもらうエンターテインメント」という位置づけに。今でいう「パフォーマンスキッチン」の走りといえるかもしれない。

外観デザインにもこのコンセプトは反映されており、大阪の心斎橋店や道頓堀本店では、神社の鳥居形のモニュメントが屋根や玄関に飾られている。器などに入っているロゴ「KAMUKURA」のAも、鳥居の赤色だ。
おいしいものは、きれいなところから
神座にはもう1つ、女性に選ばれている要因があるという。群を抜いた清潔感だ。神座は創業時から「きれいなところからしか、おいしいものは生まれない」をスローガンに、清潔さに非常にこだわってきた。
ゴミが落ちてないのはもちろん、ほこりもない、床もベタベタではない空間を目指して清掃をしており、その徹底のため、社員には「必要だと思ったら、どんどん自分の判断で動いていい」という行動指針を浸透させている。

マニュアルに記載されていなくとも、いつでも席を拭いたり、店外へ行って窓を拭いたり、自分で道具を買ってきてもOKという「自由」があるのだ。

この指針はサービスにも徹底されていて、「お子さんがいる客や高齢者ご夫婦など、客に応じてサービスをする」ホスピタリティ精神が共有されている。たとえば「咳が出ている客には水を多めに提供する」「子連れ客には、座りたい席や必要なものを聞く」など、それぞれに応じたサービスを推奨しているのだ。
また、ホスピタリティ精神は、2024年春から「ホスピタリティ0円」としてメニューにも明記し、客側から要望も寄せやすくなったそうだ。
一方で、このような方針にはリスクも伴う。個人の判断や経験に依存する「属人的なサービス体制」ともいえる仕組みで、個々のスタッフの創意工夫が可能になる反面、人によってサービスの質にばらつきが出る可能性もあるからだ。
そのリスクを補うために神座では、接客の成功事例、失敗事例を本部から店長に随時通達し共有している。また、勉強会や情報共有の場も関東、関西で定期的に設けられている。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら