しかし、2021年からの拡大路線では、関西を中心に、郊外のショッピングモールのフードコートにも積極出店をするように。
「都市部のファッションビルや駅ビルに出店してブランドを認知してもらい、郊外のロードサイドやフードコートへ家族と共に行く」動線を狙った戦略だった。

ところが、この戦略は予想外の効果を生む。フードコートで、独身の若い世代も神座を目にする機会が増えたのだ。この世代の両親はほとんどが神座を知っていたため、身近に感じて入店する人が増加した。新店が広告の役割を果たしたのだ。
さらに2024年からは、有名女優を起用したCMや映画とのタイアップ、SNSでの戦略的な発信など、マーケティング施策も強化。それと並行して出店も加速したため、急激に認知が拡大したのだ。

「ラーメンレストラン」という独自ポジション
現在は、「おひとりさま」女性、子連れの女性、ファミリー層をはじめ、女性同士、男女問わず友人同士など、幅広い客層が訪れる神座。客層の男女比は、女性4:男性6の割合だ。ラーメン店としては女性客が多い理由について大林氏は、「神座がラーメン屋ではなく『ラーメンレストラン』だからではないでしょうか」と分析する。
「ラーメンレストラン」は、フレンチレストラン出身の創業者が、創業時に掲げたコンセプトだ。店の存在意義を、「ただ食べる場所」ではなく、「ゆったりくつろいでもらう」「空間を楽しんでもらう」ことに置いてコンセプトを設計したのだ。
これに基づき神座では、「スタッフはコックコートを着用」「店内が明るい」「ガラス張りで中が見やすい」など、昭和のラーメン店には珍しい、おしゃれで安心感のあるデザインを採用してきた。それが女性の入りやすさや居心地の良さにつながっているのだという。

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