"現存する最古の洋食屋" 銀座・煉瓦亭のメニューはなぜ古くならないのか? 130年のレシピに施す《客に気づかれないプラスチェンジ》の妙技
歴史を感じさせる建物のエントランスを入れば、シックな店内には創業130年の独特な空気が漂っていた――。現存する最古の洋食屋の1つとして知られる、東京・銀座の「煉瓦亭」。今もランチ時には満席になるほどの繁盛を続けている。
多くの客のお目当ては、昔から変わらぬ「元祖ポークカツレツ」や「明治誕生オムライス」「元祖ハヤシライス」といった、歴史的遺産ともいえる名物料理だ。これらのメニューが長く愛され続けている秘密はどこにあるのか。
“氷河期”真っただ中でも繁盛している煉瓦亭
「飲食業界にとって今は氷河期ですね」。こう語るのは煉瓦亭4代目社長の木田浩一朗氏だ。
まず、2020年から影響が本格化したコロナ禍がきつかった。テレビでは銀座が一斉に休業しているように報道されていたが、実は細々と営業している店も多かった。煉瓦亭もその1つで、営業時間を短縮し、ほんのわずかに訪れる客のために辛抱強く店を開き続け、何とか営業を続けた。
不思議なことに、コロナ禍明けの年は突入する前年より客単価が高かったという。それだけ多くの人が、再び元の営業時間でオープンすることを心待ちにしていたのかもしれない。
しかしながら、本当の意味でのコロナ禍の置き土産は、飲食の業態を様変わりさせたことだった。店内で飲む酒量がめっきりと少なくなり、部下たちを連れて食事に行くというような大人数での利用がほとんどなくなった。これは死活問題だ。
そして、今は別の問題も頭をもたげている。「材料費も人件費も地代もすべて上がっている。原価率は社外秘ですが、これが本当に上がっている。コメだけでも去年から1.85倍くらいになってます。どこの店も苦しいと思いますよ」(木田社長)。



















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