「たかが北大の受験じゃないかと、難しい大学の人は馬鹿にするかもしれない。でもその考えはおかしい。
僕が小学校のころ『サーキットの狼』というスーパーカーブームを作った漫画がありましたが、主人公はロータスヨーロッパという1500ccの小さなエンジンの車でポルシェやランボルギーニに挑む。それがあの作品のいいところだった。
それぞれの人間のそのときそのときの一生懸命がある。僕みたいにとんでもなくスタートが遅れていても、目標を掲げて努力したことが後の人生に生きている。今の僕だったらもっと計画的に早めに仕掛けて苦労はしなかったでしょう。
でもまだ若くていい加減だった20歳の僕にはあのときはあれが精一杯だった。だから、やりきったという気持ちが今でもある。紆余曲折でもいいから、思い立ったときがスタート、頑張れば誰でも目標に届くはずです」
「地方の底辺高にいる人は『自分はもともと頭が悪いから』なんて言う人もいる。でも違うんだ。自信を持ってほしい。機会やチャンスが平等に与えられていないから、社会にそう思わされてるだけ。東京や関西の6年一貫有名高に入ってる人は親が大量のお金を使って小学校時代に勉強させたから。
僕はこういう仕事をしているから取材で多くの人に会う。東大卒の人と話して、翌日、中卒の人と会って話したりすると、中卒の人のほうが100倍くらい頭がいいことが多々ある。医者と話した1時間後に高校中退の風俗嬢と話して、その頭脳の切れ味と豊かな感性に驚くこともある。受験勉強は馬鹿にしてはいけないけど過剰なほど警戒する必要はない。努力は必ず実るのが受験勉強の堅実性だから、どこからでも逆転できる」
努力は絶対に実る
「努力は絶対に実る。これ、何かに似てませんか? そうです。七帝柔道の寝技と一緒です。努力が必ず実るのが柔道においては寝技だし、勉強においては受験勉強なんです。決してひとりぼっちの青春は無駄にならないから、若い人には、何年浪人してでも、行きたい大学に入ったほうがいいと伝えたいです」と語った増田さん。
筆者が浪人時代に読んで心が熱くなった『七帝柔道記』の作者であり、自身を投影していた主人公の増田さん。その彼は、想像通り、熱い情熱を持ち、思いやりを持ち、多くの人に頑張ることの大切さを伝える活動を、作家活動を通して、そして人生を通じてしているのだろうと感じることができました。
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