「私がお刺身を切る練習していたとき、じいはニコニコして見守ってくれていました。言葉は出てこないけど、喜んでくれていたと思います。家族みんなで加一で働いて、みんなから『じい、じい』って話しかけられて、じいは幸せだと思うんですよね」
2025年1月、ペペさんと加一に大きな転機がやって来る。TikTokへの投稿を始めたのだ。これまでもInstagramに投稿はしていたが、新たな分野に進出したのだった。
実は、筆者がペペさんを知ったのもTikTok。個性的な見た目の女性が鮮やかに包丁を動かす映像や、大好きなおじいさんのために女将になったという物語に触れ、一発で心をつかまれてしまった。今やフォロワーが15万人を超えるTikTokは、母親や弟が撮影してくれているという。
筆者と同じく、TikTokからペペさんを知る人も多い。ペペさんの父親・匡洋さんはその影響力の大きさを明かす。
「先日、足利市の新年会があったんです。観光協会の副会長さんに『TikTok見たよ、バズっていてすごいね』と話しかけられ、意外と見てくれている人がいるんだなと。70歳のおじいさんでも、見たよって言ってくれる人がいて、びっくりしました」

「クソリプ」を家族で笑い飛ばす
もちろん当事者のペペさんにも、さまざまな反響があった。韓国人のタトゥーアーティストから連絡があり、「あなたにタトゥーをプレゼントしたい」とメッセージが。東京の代々木公園でその方と会い、ピクニックをしながら新しいタトゥーを彫ってもらったそうだ。
あるときは、やはりSNSでペペさんや加一を知ったという、顔までびっしりタトゥーを入れた外国人女性が、店に来てくれたこともあった。海鮮を楽しんだだけでなく、ペペさんとの交流や記念撮影もして、楽しんでくれたようだった。
すっかりお店の顔になったペペさんは、いつしか「4代目女将」
さらに今後は英語メニューを準備するなど、インバウンド向けのサービスにも取り組んでいきたいと匡洋さんは続ける。
「足利には今、観光名所がフラワーパークしかないんです。足利といえば加一みたいな、フラワーパークに名前を並べられように頑張りたいですね」
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