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〈海外ファンドが激白〉ツルハ・ウエルシアの経営統合に待った! 大株主のイギリスの投資ファンド、オービスが反対表明した理由とは?

ツルハとウエルシアの経営統合に、ツルハの大株主である海外ファンドが反対。5月下旬の株主総会の行方に注目が集まる(編集部撮影)
2025年末の実現を目指すツルハホールディングス(以下、ツルハ)と、イオン子会社のウエルシアホールディングス(以下、ウエルシア)の経営統合。実現すれば売上高が2兆円を超える大手企業の誕生となり、日本のドラッグストア業界の構図が大きく変わる。
ツルハは2025年12月1日までに株式交換などを通じて、ウエルシアを完全子会社化。その後、イオンがツルハに対して公開買い付け(TOB)を行い、株式保有比率の50.9%を取得。2026年1月までにツルハをイオンの子会社とするという。
しかし、ここにきて、ツルハの株式を9.7%保有するイギリスの投資ファンド、オービス・インベストメンツ(以下、オービス)が、今回の経営統合に反対の意向を表明した。オービスは20年以上前から、業界再編の中心となりそうなツルハやサンドラッグ、スギホールディングスといった、複数の大手ドラッグストアに出資してきた。
これまで株主提案を行うなどの目立った活動はなかったが、なぜ今回、突如として反対意見を出したのか。オービスの日本株責任者、ブレット・モーシャル氏が東洋経済の取材に書面で回答した。
業界再編に期待も、今回の統合案には反対
――そもそもツルハとウエルシアが経営統合すること自体について、反対の立場なのでしょうか。
私たちは業界再編が進むことを長年の投資テーマの1つにしてきた。しかしながら、ツルハの価値を著しく過小評価する経営統合の条件と公開買い付け(TOB)価格には強く反対している。
イオンは、今回の経営統合で(ツルハの)株式保有比率を50.9%にまで引き上げ、親子上場を実現したいとしている。親子上場は時代錯誤だ。東京証券取引所は親子上場を奨励しておらず、多くの企業が子会社を非公開化するか、子会社を売却するなどして、親子上場を解消する措置を講じている。
イオン自身も、連結子会社であるイオンモールとイオンディライトを非公開化する手続きを進めている。同社は自社の資料の中で、イオンディライトの非公開化の主な理由として、支配株主を持つ上場企業であることによる少数株主との利益相反を挙げている。
しかし、ツルハをめぐる今回の取引では逆の方向に進み、親子上場を目指している。 ゆえに、私たちは経営統合の条件、公開買い付け価格、そして親子上場の実現に対して反対している。
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