ツルハがイオン傘下へ「ドラッグ2兆円連合」の波紋 ファンドから全株取得、イオン急接近の背景

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ツルハ、ウエルシアともにM&Aで全国区へと規模拡大を続けてきた(撮影:今井康一、編集部)

ついに北海道の雄がイオン傘下に入る――。

イオン子会社でドラッグストア業界首位のウエルシアホールディングス(HD)は2月28日、北海道地盤で2位のツルハHDと経営統合の協議を開始すると発表した。実現すれば、売上高2兆円規模のドラッグ連合が誕生する。ツルハはイオンの子会社、ウエルシアはツルハの子会社となる見通しで、2027年末までの合意を目指す。

2番手のツルハが首位のウエルシアの親会社になるスキームだが、記者会見では「あくまで精神は平等。早期にシナジーを発揮するのが目的」と、ツルハの鶴羽順社長は説明した。人事権は親会社のツルハが持ち、買収後も互いの屋号(看板)を残す方針だ。

昨年12月に行った東洋経済のインタビューでウエルシアの松本忠久社長は、ドラッグストア業界の展望について「初代社長は規模拡大を優先してきたが、2代目は『どんな価値を提供する店を目指すか』を重視する傾向が強い。これがガッチリはまれば、大きな再編が起こるのではないか」と語っていた。

イオンがオアシスから株取得

経営統合に先立ちイオンは、アクティビスト(モノ言う株主)として知られる香港の投資ファンド、オアシス・マネジメントからツルハ株約13.6%を1023億円で取得する予定。イオンの出資比率は約27.2%となり、ツルハはイオンの持ち分法適用会社となる。

オアシスは、ツルハの持ち分比率を12・8%まで高めたうえで、昨年8月のツルハ株主総会で株主提案を行っていた。創業家が会長と社長に就き、父親が息子を監督する関係を取り上げて「ガバナンス不全」と批判。経営陣が自身の保身を優先することで、大手同士の経営統合など、適切な検討ができていないと問題視していた。

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