「タトゥーが入ってる女将の店なんて不味そう」「この恥が!」トチョニカペペさん(25)が、誹謗中傷されても“創業80年の店”を継いだワケ

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だが有名になることは、いい面だけではない。社会問題にもなっている「誹謗中傷」と、ペペさんもやはり無縁ではない。いわゆる「クソリプ(SNSでのひどいコメント)」をしてくる人もいるが、ペペさんはまったく気にならないという。

むしろ、大喜利の回答を楽しむかのように、「海なし県なのに海鮮屋をするな」「タトゥーを入れてる女将の店は不味いに決まってる」などのコメントを、家族と共有して笑い飛ばしている。それらを真剣に受け止めず、違う人種がやっていることだと捉えているのだそう。

「国が違うと思っています。私という国とは別の国で、相性が合わなかったんだなと。飛行機出てないんでごめんなさい、着陸しないでください、っていう感じなんですね」

トチョニカぺぺ
とにかく明るく、対話する人を引き込むぺぺさん(筆者撮影)

あとの人生は家族に恩返しをしたい

リアル店舗と、バーチャル空間であるSNS。その両方を活用して、加一を新時代に導くことが目標だと、ペペさんは話す。その根底にあるのは、家族への愛情だ。

「ずっと家族の近くにいたかったんです。こんなに自由にさせてくれて、迷惑もたくさんかけちゃったから、あとの人生は家族に恩返しをしたい。加一があったおかげで、いろいろな人と出会えました。加一がなければ、いまの私はいないので」

トチョニカぺぺ
仲睦まじい、父親の匡洋さんと(筆者撮影)

実家にはペペさんの部屋がなく、ソファで寝ているという。だが、それでもまったく問題ないというほど、家族との間には壁はないようだ。一見、尖りに尖って見える彼女だが、家族はそれを受け入れ、むしろその個性を存分に認めながら、いい関係性を築いている。

ぺぺさんの個性的なビジュアルだけではなく、その「人間性」と「物語」に人は心を打たれるのかもしれない。

肥沼 和之 フリーライター・ジャーナリスト

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こえぬま かずゆき / Kazuyuki Koenuma

1980年東京都生まれ。ルポルタージュや報道系の記事を主に手掛ける。著書に『究極の愛について語るときに僕たちの語ること』(青月社)、『フリーライターとして稼いでいく方法、教えます。』(実務教育出版)。東京・新宿ゴールデン街の文壇バー「月に吠える」のオーナーでもある。ライフワークは愛の研究。

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