不登校「解決支援機関」の耳を疑うアドバイス 正常判断を失った両親が次女を自傷行為に追い込んで抱えた深い後悔

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母:「その人から『子どもは甘えながら自立していくもの。甘えさせてあげていいんだよ』と言われました」

父:「私たちのことをひとつも責めないんです。『お父さん、お母さんもがんばったね』と褒めてくれる。ああ、これが子どもに必要なことだったんだと気づきました」

その後、田中さんご夫婦は、娘さんを学校に行かせるための働きかけはしなくなりました。生きていてくれることをありがたく思い、「あなたはあなたのままでいい」と存在そのものを承認する意識に変わっていったそうです。

心を閉ざし、涙を見せることもなく、ただ「私は学校に行っていないから仕方ない」と、文句ひとつ言わずに日常生活の制限を受け入れた娘さんが、その後「これがほしい」「これ食べたい」と率直な希望を口にするようになります。お母さんはそれを一つひとつていねいに受け止めているそうです。

その様子に「やっと自分の言いたいことを言える環境になったのかな」と、お父さんはようやく安堵の気持ちを覚えています。

無理に褒めることを探さなくていい

そんなできごとから約3年。娘さんは元気になり、この春、通信制高校に入学しました。勉強をがんばり、全日制高校にも合格しましたが、いろいろ考えた末に「自分に合っているのはココ!」と今の学校を選んだのです。

当時のことをあらためてご夫婦に振り返っていただきました。

母:「支援機関から1日たくさん『なんでもいいから褒めてください』と言われましたが、当時は『褒めなければ』という思いでやっていました。褒めるって本来そういうことじゃないですよね。今ならそんな褒め方はしないと思います」

父:「心の底からすごいと思えば自然に口に出るものですよね。子どもは表面的なことと心の底から出た言葉の違いを感じ取ります。今思えば、褒めることを無理やり探さなくても、やさしいまなざしを向けるだけでもよかったんだなって」

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