今日は何を褒めたのか、褒めた数も、どんな褒め方をしたのかも1日の終わりに項目を書き出して支援機関にメールする毎日に、お母さんはだんだん疲れていきました。
そうして3カ月が経ちました。しかし、娘さんは学校に行くことができません。ご両親が「効果が出ない」と支援機関に連絡したところ、支援期間の延長を提案されます。
新たな提案は「家の中にあるお菓子を食べられないようにすること」、そしてアニメ好きな娘さんの「マンガを取り上げてしまうこと」でした。
父:「家に食べるものがあると満たされてしまうから取り上げましょう、そうすれば学校に給食を食べに行くからというやり方です。家の居心地を悪くすることで学校に行かせようとするんです」
リストカットという最悪の事態に
それでも効果が見られない状況に、支援機関は「お小遣いもストップしましょう」という提案をしてきます。田中さんご夫婦はそのときのことを振り返り、
父:「今思えば、なぜその通りにしてしまったのか。当時は私たちも正常な判断ができなかった。娘に『学校に行っていないからお小遣いもあげられないよ』と伝えたあとに、『これできっと改善するだろう』という思いが湧いていました」
その数日後、大きなできごとが起こります。娘さんがリストカットしたのです。
父:「今でも忘れられません。その前々日に家族でショッピングモールに買い物に行ったんです。楽しい時間のはずなのに、次女だけは真っ青な顔をしてもぬけの殻のように歩いていました。そこで気づくべきだったんです、娘がSOSを出していることを。でも気づけなかった」
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