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研究者は高額報酬を受け取る一方、低賃金労働者を酷使…隆盛のAI開発最前線で起きている「不都合な真実」

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シリコンバレーで今最も注目を集める若手起業家・アレクサンダー・ワン。Scale AIの創業者でメタのChief AI Officerに就任 (写真:Drew Angerer/gettyimages)
生成AIの登場に加えて、金融引き締めによる資金調達の難しさ、人材獲得競争の激化……スタートアップをめぐる環境は大きく変化している。連載「すごいベンチャー」では、そうしたスタートアップの最新情報を定期的に発信していく。
今回は、カリフォルニアに在住するベンチャーキャピタル・WiLの小松原威パートナーに、現地スタートアップの最前線の動向についてリポートしてもらった。

AI研究者に1億ドルの契約一時金

生成AIの登場に加えて、金融引き締めによる資金調達の難しさ、人材獲得競争の激化……スタートアップをめぐる環境は大きく変化している。週刊東洋経済の恒例特集「すごいベンチャー」を連載化。連載の一覧はこちら

シリコンバレーでは今、テック企業によるAI人材の争奪戦が激化している。とりわけメタは、競合のOpenAIなどのAI研究者に対して、1億ドル(約145億円)もの契約一時金を提示したという話が飛び交い、この数週間で11人ものトップクラスのAI研究者を引き抜いたとされる。その様相は年俸が高騰したプロスポーツ選手の移籍報道のようだ。

メタがここまで攻勢を強める背景には、AI開発競争での出遅れがある。OpenAIやグーグルなどが次々と大規模言語モデル(LLM)をリリースし、中国のDeepSeekのような新興のオープンソースLLMも出現するなか、メタは自社が主導するオープンソースAIモデルの開発で巻き返しを図るべくAI開発チームを強化している。

トップクラスのAI研究者やエンジニアを集め、新設したのが超知能の開発を掲げる「Meta Superintelligence Labs(メタ・スーパーインテリジェンス・ラボ)」だ。

メタは6月にデータラベリングを手掛けるスタートアップのScale AI(スケールAI)に143億ドル(約2兆円)を投じて、49%の株式を取得。この出資によって、Scale AIの創業者である28歳のアレクサンダー・ワンがメタのChief AI Officer(チーフ・AI・オフィサー)に就任し、Meta Superintelligence Labsを率いることになった。

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