学校心理士の元校長が語る「不登校」の全体像 読み書き障害・ギフテッドなどケースは多様
昨年10月、小中学校における「学校へ行かない状態が30日以上続いている状態」を指す不登校児童生徒数が約30万人になったと文部科学省より公表された。
しかし数字だけ見ていても本質が見えてこない。そこで、元東京都内の公立小学校校長で現在は東京都特別支援教室巡回アドバイザーの福田晴一さんに内容を解説してもらった。
不登校の原因は多岐にわたる
――「不登校児童生徒30万人」。この数字をどう見ましたか?
確かにこの数字はセンセーショナルで、メディアに大きく取り上げられました。しかし私は文科省が2022年に発表した「不登校に関する調査研究協力者会議報告書」にも注目しています。
これは一部の学校に通う不登校の生徒児童とその保護者にアンケートを取った調査です。
この結果を見ると、小学校の児童が学校に行きづらいと感じ始めたきっかけは先生や友達のこと、体の不調、「朝起きられない」などさまざまで「自分でわからない」と答える子も多いんです。
中学になると体の不調、「勉強がわからない」が多くなりますが、やはり「自分でわからない」と答えている子も多い。
また学校を休んでいる時の気持ちは小学生の約70%が「ほっとした」「自由な時間が増えてうれしい」で、中学生になると「勉強の遅れがないか不安」がトップになりますが「ほっとした気持ち」も依然多い。
つまり学校に行かないことの原因は非常に多岐にわたっていて、周りの大人は心配するかもしれませんが、子ども本人は「ほっとして楽になった」ケースが多いとわかります。
――原因はいろいろあってわかりにくいと?
私見ですが、一口に不登校と言っても比較的短期で解決するものと、中・長期的な対応が求められるものに分かれると考えています。さらに、主に自分自身に因子があるものと、周りの環境からくるものもある。
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