大企業の福利厚生経費で運営されている競技は、不景気になれば真っ先に廃部にされて、「お金がないからなくなる」、つまりそれは「流行り廃り」の興行にとどまります。
たとえば、なかなかプロ化が進まない、それでいてたくさんの競技人口を抱え、長い伝統を誇るバレーボールを運営していたVリーグ(セミプロリーグ、2018~2024年)で、大企業の福利厚生費ではなく、地域に支えられた密着運営をしているのが、男子は「堺ブレイザーズ」と女子は「岡山シーガルズ」です。2024年10月から始まる新しいバレーボールのリーグ、SVリーグもまだセミプロです。
スポーツが地域「文化」となる
ある競技が、「目の前で超人たちが奇跡を見せてくれる」喜びを享受する、地域の人々による広い裾野で支えられたとき、それは人々の生活や人生とシンクロし始め、「甲子園には出られなかったしドラフトにもかからなかったけれど、地域リーグ(四国アイランドリーグなど)や地元クラブチームで野球を続けられる」ことになり、「この街はスポーツをスイッチにして、経済も社会交流も教育もみんな連動している」というシビック・プライドを生み出し、それはすなわち、スポーツが地域「文化」となることを意味します。
地域密着の競技運営が「その競技のスポーツ・キャピタル(競技資本)」という基盤づくりを積み上げていき、それが興行ではなく「文化」として継承されるのです。
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