「青少年の刑法犯罪は増加の一途」
「生活保護費の不正受給が蔓延し財政が逼迫」
もっともらしく聞こえますが、これらはフェイクです。気がつけば、日本の政治や社会を考えるための基本認識に、大中小のフェイクとデマがあふれかえっています。
「『世界は狂っている』という大雑把で切り分けの足りないペシミズムに陥らないことが大切」と述べるのは、政治学者の岡田憲治氏。大中小のフェイクについて考えることをスイッチにして、この世界を1ミリでも改善するための言葉を共有する道を探そうと企んで執筆したのが『半径5メートルのフェイク論「これ、全部フェイクです」』。今回は、「選挙と投票」にまつわるフェイクについて考えてみたい。
政治に無関心な人を変えるきっかけ
誰もが政治の話になるとあまり幸福な顔をしません。「政治は……ちょっと」です。無理もありません。政治に関するニュースは、あまり愉快ではない問題を常に眼前に突きつけてくるものばかりだからです。
税金の使い方の誤り、深刻な問題の放置、積年の社会課題の未解決、大切な原則やルールのねじ曲げ、未来に投影される不安の種。こうしたものすべてに関するものが政治ですから、そんなことに新鮮な意欲をもって向かい合おうとする人はあまりいません。
そうなると政治は、もっぱら「政治で生きている」人たち、「政治に依存している」人たちによってこね回され、公共的で大切なものが私物化されるゲームのように思われてきて、音のない諦めの入り混じった無関心か、より強い反対バネを利かせてドロップアウトし、ドン引きの態度となる人たちだらけとなります。
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