しかし、Aさんはパーキンソン病の疑いで、医師から確定診断のための検査など勧められていたにもかかわらず、確定診断は受けないままに過ごしていました。
妻が確定診断を受けるために必要な検査代を渋っていたのに加え、難病の医療費助成などについての知識があまりなく、「診断を受けても意味がない」と思い込んでいたのが最大の理由だったようです。
聞けば、Aさんの通院が難しくなってからは、妻がAさんの代理で受診し、本人の通院時と同じ薬を継続して処方してもらっていたといいます。
言わずもがな、患者さん本人でなければ薬を処方してもらうことはできません。本人の症状を直接診ないことには、医師も適切な薬の処方ができないはずです。
お金を使うのはもったいない
実際、筆者がAさんと初めて会ったときは、Aさんの状態が通院時とは変わってきており、以前の薬では合わなくなっていました。その結果、血圧が下がり過ぎているなどの問題が表れ、トイレで失神してしまうなどのトラブルも続いていたようです。
正直、本人の診察なしに薬の処方を続けていた外来の医師にも大きな問題があります。それも含め、こうした状況を見かねたケアマネジャーが、筆者に訪問診療を依頼してきたという流れだったのです。
妻は最初、「訪問診療は費用が高いから、入れなくていい」の一点張りでした。動けないAさんが適切な医療を受けるためには、医師が自宅を訪問する訪問診療が必要ですが、ここでも「お金を使うのはもったいない」と考えていたようです。
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