お金を理由に、本来受けるべき医療を自己判断でセーブしてしまう――。今、困窮世帯のみならず、一般的な所得の世帯でも、こうした問題が生じている。
これまで1000人を超える患者を在宅で看取り、「最期は家で迎えたい」という患者の希望を在宅医として叶えてきた中村明澄医師(向日葵クリニック院長)の連載。
今回は、お金を理由に適切な医療を受けてこなかった難病患者や、「子どもにお金を残したい」という理由からがん治療を制限する母親のケースを基に、適切な医療につながるためのポイントや考え方を解説する。
パーキンソン病の疑いで、体を思うように動かせなくなっていたAさん(男性、70代)。同居する妻がAさんの介護をしています。筆者の夫婦との出会いは、Aさんのケアマネジャーから筆者に「診てもらいたい患者さんがいる」と、連絡が入ったことがきっかけでした。
国の「指定難病」になっている病
パーキンソン病とは、脳の異常から動作が遅くなる、手足が震える、バランスが取れなくなるといった、主に体の動きに関わる症状などが表れる病気で、国の「指定難病」にもなっています。
医師から指定難病と診断され、かつ重症度分類に照らして病状の程度が一定以上である場合などでは、難病法によって医療費の助成を受けることができます。
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