がん末期39歳女性「この子といたい」と選んだ治療 AYA世代にも必要「在宅ケア」とはどんなものか

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訪問診療中の中村医師(写真:著者提供)
コロナ禍で病院での面会が制限されていることなどを背景に、需要の高まりを見せている在宅ケア。家での療養生活を支えるのが、患者宅を訪問して診療を行う在宅医などだ。これまで800人を超える患者を在宅で看取り、「最期まで自宅で過ごしたい」という患者の希望を叶えてきた中村明澄医師(向日葵クリニック院長)が、若い人たちにも知ってもらいたい〝在宅ケアのいま〟を伝える本シリーズ。
初回は、15歳〜39歳のAYA世代と呼ばれる若い世代のがん患者の例をもとに、在宅医療について紹介する。

千葉県在住のAさん(39歳・女性)。なかなか妊娠できないなか、やっと授かった出産に向けて備えていた矢先、妊婦健診で卵巣がんが見つかりました。お腹に宿したわが子への影響を考えると、すぐにがん治療を始めることはできません。そこで妊娠31週目まで胎児の成長を待ち、帝王切開で出産。出産後、すぐに抗がん剤治療をスタートしました。

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治療を続けながらも、夫とともに子どもの成長を見守る日々を送っていたAさんの症状が深刻化したのは、子どもが3歳になった昨年のこと。Aさんは妊娠時から通っていた婦人科で治療を続けていましたが、体調がすぐれず受診できないことが続いたため、緩和ケア内科に紹介となりました。

どんな症状がある人にも必要な緩和ケア

緩和ケアは、がん終末期の患者さんをはじめ、死が近づいている人だけのものだと思われがちですが、決してそうではありません。緩和ケアは、痛みをはじめとするつらい症状をやわらげて、日々のQOL(生活の質)を向上させるためのケアを指します。そのため、死期が近い患者さんだけが対象ではなく、どんな症状がある人にも必要とされているものです。

以前は、治療ができなくなったら緩和ケアに「切り替える」という考え方が主流だった時代もありました。ですが今は、緩和ケアと治療は「最初から並行して行うもの」という考え方に変わってきています。つらい症状をやわらげる緩和ケアは、どんな病気であっても、そしてどの時期であっても行われるべきケアなのです。

在宅ケアは、大きく分けると「在宅医療」と「在宅介護」で成り立っています。私が医師として関わっている在宅医療は、訪問診療と訪問看護で成り立つ領域です。

医師が患者宅を訪問して診療する訪問医療がどのようなものか、具体的なイメージが湧く人はまだまだ少ないです。ましてやAさんのような若い世代はなおさらでしょう。Aさんも私から在宅医療についての話を聞いて、初めてその選択肢があることを知ったようです。

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