独居で在宅ケア、50代男性「餃子50個」の深い意味 「思うように最期を過ごす」とはどういうことか

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自宅で過ごし、思うままに生きる――。在宅ケアのよさはそこにあります(写真:天空のジュピター/PIXTA)
コロナ禍で病院での面会が制限されていることなどを背景に、需要の高まりを見せている在宅ケア。家での療養生活を支えるのが、患者宅を訪問して診療を行う在宅医などだ。これまで800人を超える患者を在宅で看取り、「最期まで自宅で過ごしたい」という患者の希望を叶えてきた中村明澄医師(向日葵クリニック院長)が、若い人たちにも知ってもらいたい“在宅ケアのいま”を伝える本シリーズ。
3回目は、在宅だからこそ叶えられた過ごし方を、実例をもとに解説する。いざという時に自分だったらどう過ごしたいか――、ぜひ考えてみてほしい。

千葉県在住の男性、Aさん(53)。心不全を患い、治療のために入院していた病院を退院するタイミングで、私が在宅医として担当することになりました。

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Aさんは一人暮らし。料理人として長く働いてきた経験があり、食べることと料理することが大好きな人でした。

病気がわかってからも料理人の仕事を続けながら、塩分など食事制限があるなかで、自分で食べたいものをいろいろ工夫して作って、食べられていたようです。時々、食べすぎたり、無理をして働きすぎてしまうことで症状が悪化し、入院することになったようでした。

入院中は食べたいものが食べられない

そんなAさんですから、入院中は食事に対するストレスが相当大きかったといいます。多くの人にとって、食事は楽しみの1つ。「食べたいものを食べたい」という欲求はごく自然なものですが、入院生活となるとそれがなかなか叶いにくい現実があります。

Aさんの場合には、「食べたいものが食べたいときに食べられない」というストレスに加え、「自分で料理ができない」ということも大きなストレスになっていたようでした。

入院生活から自宅に戻ったAさんは、退院直後に餃子を50個作って食べたことを嬉しそうに話してくれました。最初は10個だけのつもりが、また10個、また10個……と増え、気づけば50個をペロリと食べてしまっていたとか。それでも塩分を考えて、塩やしょうゆを控えたAさん仕様の餃子だといいます。「やっと家に帰ってこられた」「やっぱり家がいい」と、ニコニコしながら話していた姿を思い出します。

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