夏野・ホリエモン、「激烈な報酬格差は当然だ」 「WORK RULES!」刊行記念"働き方"対談
堀江:まさに僕がずっと実践していたことで、ライブドアの幹部はみんなそうでした。
一流のエンジニアは平均の1万倍の価値がある
山田:優秀な人をどうやって処遇するかについても触れられています。この本では、プログラマーの価値について書いていて、グーグルでは一流のエンジニアは平均的なエンジニアの1万倍の価値があるとまで書かれています。
夏野:そんなのは当たり前でしょう。
堀江:プログラマーで1万倍はなかなか難しいけれど、1万倍のヤツはいますよ。
夏野:これはプログラマーじゃない。アーキテクト。
堀江:でも、アーキテクトだけどコードは書けます。
夏野:コードを書けるアーキテクトもいいんだけど、やっぱアーキテクチャーをきちんと設計できる人間と、きれいなコードを書く人間はちょっと違う。
堀江:きれいなコードを書かなくていいから、納期に間に合わせるとか。
夏野:そうなんだけど、全体を俯瞰できるのと優秀なプログラマーは違う。
堀江:それはすごくわかります。ライブドアでは最初にすごく優秀なプログラマを雇ったんです。ただ、プログラマとしては優秀でも、俯瞰はできない。
夏野:だから、優秀なエンジニアの300倍にはいくんだけど、コードを書くのは時間がかかります。
堀江:今、LINEのCTOをされている池邉智洋さんとかは1万倍かも。
夏野:それはたぶん、プログラマーから次のステージに行っている。ビジネスアーキテクチャーを組むとか。
堀江:僕がライブドアを辞めていちばん惜しいと思っているのは、彼らを中心としたソフトウエアエンジニアのチームが自由に使えなくなったこと。それはおカネを出して買えるものではないのです。
山田:日本では、報酬にあまり反映しないものですが……。
夏野:そうなんですよ。ほんとかみしめています。家族が言ってくるのです。「誰々さんが家建てたとか、飛行機を買ったけれど、うちはどうしてどちらもないの?」って。そこらのベンチャー社長より私のほうがよっぽどおカネは稼いだんだけどね。
山田:そういうことですよね。報酬が見合ってない。
夏野:でも、さすがに公平でないといけないみたいな発想はもうないでしょう。