「やりたいこと」より「役立つ資格」を選ぶ人の盲点 「社会が設定した欲望」は誰がつくっているのか
「役に立つ資格って何ですか?」と聞く学生
舟津:学生から最もよく聞かれる質問の一つが「役に立つ資格って何ですか」というものです。私の考えでは、何かやりたいことがあって、そのために資格が必要だから取る、という発想が自然だと思います。もちろんそう考える学生もいる中で、「役に立つ資格は何か」という質問には、その発想が欠けているように感じます。
鳥羽和久さんと対談した際、鳥羽さんが「社会が設定した欲望」という表現を用いられました。「役に立つ資格を取る」というのは、その人がやりたいものではなく「そうしないといけない」と社会が設定したものなのであると。学生にそういうことを言うのはまず親御さんだろうし、大学も加担している。でも、若者側にも「本当にそうしないといけないの?」という疑問があってもいいと思うんです。
三宅:そうですね。本書で「いい子症候群」について触れていますが、基本的に高校生までは「親の言うことを聞きなさい」とか、「迷惑かけないように生きなさい」という論理の中で生きています。だから、大学生になって初めて「やりたいことをやれ」と言われても、「やりたいことじゃなくて、求められることをやりたい」という感覚になるのは仕方ないかなとも思ったりします。