これまでの日本では、若いうちに教育を受けて、60歳前後まで働き、引退して余生を過ごすという三つのステージを順番に過ごすのが一般的でした。しかし今後、長い老後を生き抜くには、より長く働くことが求められます。働く期間がただ長くなるだけでは、魅力的な人生とは言えないかもしれません。
リンダさんは著書で、これからはこの三つのステージが入れ替わったり、仕事を途中で変えたりする「マルチ(複数の)ステージの人生」が当たり前になると書いています。年齢に関わらず主体的に学び直して選択肢を増やし、さまざまな移行を経験する人生です。
その考え方を若者向けに書いたのが、『16歳からのライフ・シフト』です。高校生が自分の進路や将来の人生を考えるうえで役立つ部分をわかりやすくまとめ直しています。翔太と葵(1998年生まれ)、彼らの親世代の浩子(1971年生まれ)、祖父母世代の武夫(1945年生まれ)という3世代の人生を想定して例にあげ、人生設計のヒントを紹介しています。
著書では、マルチステージを幸せに生きるためには、アイデンティティー(自分らしさ)が必要と述べられています。また、お金や土地などの有形資産は大切ですが、家族や友人、知識、健康といったお金で買えない「無形資産」が極めて重要になるとも書かれています。
・会社員でありながら、副業、兼業などで複数の仕事をする
・一定期間会社員として働いた後、新しいスキルを身に付けるため学び直し、フリーランスとして働く
・会社勤めをしながら、地域活動やボランティア活動にも打ち込む。そこで出会った人たちと起業する
・会社員として働いた後、自分磨きのために留学や旅をしたり、子育てや介護を中心にした時期をもうけたりして、再度会社員として働く
リンダ・グラットンさんに聞く「学びへの姿勢」
「人生100年時代」というキーワードを生んだリンダさんは、ロンドン・ビジネススクールの教授としても活躍しています。子どものころから好奇心に満ちあふれていたといい、年齢を重ねても学ぶことを楽しんでいます。
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