3ステージからマルチステージへの移行に必要な教育
――高校生から100年時代の人生戦略を考えることについてどう思われますか。
『ライフ・シフト』には、私たちはこれまで3ステージ(教育・仕事・引退)の人生を生きてきたけれど、これからはマルチステージの人生が主流になるのではないか、と書かれています。
マルチステージの人生とは、学んだり、働いたり、地域活動に参加したり、余暇を楽しんだりといった活動に、各人が、それぞれのタイミングで取り組み、経験や学びを昇華して多様で複雑な移行を行うことです。
言わば、「人生いろいろ」とは昭和の歌にもありますが、これから私たちが生きる社会は、人生が画一的なものから、より一層、各人各様のものになっていくということだと思います。
私はこの考え方に強く共鳴し、日本の学校教育も新しい人生設計に応じた、新しいものに変わっていく、あるいは取捨選択も含めて新しいことを取り入れていくことが必要ではないかと考えています。
ところが、今の日本では、VUCA時代と呼ばれて、人生において「自助」という自己責任による人生設計の割合が高まっている中でも、中学校では高校進学のこと、高校では大学などへの進学や就職について、大学では自己責任で進路を選ぶという次の移行のみに焦点を当てた指導が中心になっていることが多く、自分の総体としての人生や人生設計を考え実践することが「先送り型」となっている状況にとても危機感を抱いています。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら