現在の学校教育業界では、学校とはどのような場所で何をする場所なのか、という根本的な議論も生まれています。まさに「学校教育のSHIFT」へ動き出し、さまざまな取り組みが個人レベルから政策レベルでも実践されています。
未来の先生フォーラムではそのような流れに何らかの形で貢献するために様々な観点からプログラムを実施しています。
情報革命によって、今や個人が社会を動かす原動力になっています。グローバル×高度情報社会×テクノロジーによって、個人が社会へ与えるインパクトは歴史的に見ても高まってきています。いま、私たちには「人の時代」、すなわち「個」の時代が到来し、「個」の時代だからこそ、一人の人間から社会の変動・変革は始まると考えています。
私たちには様々な可能性があり、それを形にすることが歴史的に見ても容易になっています。ライフ・シフトの考え方に照らし合わせれば、学校の先生も「マルチステージ型の人生」を実現することができます。その経験は個人のキャリア形成のみならず、組織の成長にも寄与するということが言えるでしょう。
アンディ・ハーグリーブス教授は、「教えることと学ぶことは、『常に』社会的で情動的な実践」と述べています。これからの教師の役割は、学びのデザイナーやコーディネーターとして、学びの環境づくりやリフレクティブな学びを実践するという方向になると思います。より良い社会を構成する力を子どもたちに身に付けさせる仕事になるのです。
そのためには、働き方改革による労働条件や環境の改善だけでなく、働き方自体を多様化し、教師が働き方を主体的に選べることも大切です。教師自らが「人生100年時代」をより良く生きることで、より良い教育活動につながり、より良い社会を創造することになるのではないでしょうか。
今の教育現場には制度面の問題ももちろんありますが、まず私たち自身ができることから行動して現状を変えていく必要があると思います。私自身も当事者として、多くの人たちとより良いキャリアや人生を創ることができる社会を創っていきたいと考えています。
『16歳からのライフ・シフト』を読んで得られること
――高校生たちに本書から何を得てほしいですか。
まず「これからの社会の姿はこうなるよ」、ということを具体的に理解してほしいですね。若者世代の葵と翔太、その親世代の浩子、祖父母世代の武夫、というように具体的な人物が登場するので、わかりやすいと思います。
これから歩む人生は、親とは全く違う時代だということに気付いて、自分が社会とどういう風に間合いをとって生きて行けばいいのか、考えるきっかけにしてほしいですね。自分なりに社会と距離をとるには、自分自身・社会それぞれの理解を深めていくことが大切です。本には、いろいろな選択をしている実例が出てくるので、自分自身・社会の双方について理解を深めやすいと思います。
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