ロンドン・ビジネス・スクール経営学教授のリンダ・グラットン氏らが著書『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』で提唱した「100年時代の人生戦略」は、日本でも一大ムーブメントを起こし、高校生向けに『16歳からのライフ・シフト』も刊行された。
本書によると、今の高校生の2人に1人が107歳以上まで元気に生きる長寿社会では、70代、80代まで働き続けることになり、20代で得た知識やスキルは役に立たなくなるかもしれないという。また、技術進歩や社会の変化により、これまでにない職種やスキルが続々と登場し、より多様な選択肢を持つ必要がある。そのためには、変化の激しい社会に対応できる力を身につけることが求められる。
人生100年時代を迎え、学校現場では何を柱に教育すべきなのか。知識詰め込み型の教育に疑問を抱き、早くからアクティブラーニングや探究型の授業を取り入れてきた石川一郎氏に、多様性を維持し、子どもも教員も幸せになれる教育について聞いた。
バブル期の教育に感じていた違和感
私は1985年から教員として働き始めたのですが、当時は第二次ベビーブームの子どもたちが中高生だった時代で大学受験がとても厳しく、受験に向けた模擬試験、日常の定期試験に向けた一方通行の授業で知識詰め込み教育の全盛期でした。
「言われたことを期限どおりにやること」が良しとされている学校教育に、違和感を覚えていました。
バブル崩壊後、詰め込み型の教育から脱却するための教育改革が始まります。学習指導要領改定で初めて授業時間数が削減され、絶対評価の導入、週5日制への移行など、いわゆる「ゆとり教育」と呼ばれる、さまざまな施策が行われました。
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