今でも偏差値や点数で、子どもを輪切りにする風潮はあります。上位数%の子どもはいいでしょうが、そこからこぼれ落ちた子どもたちは、劣等感を持つことになります。
成績による序列化は、小学校の高学年から中学校にかけて始まります。その結果、他者と比べられることで自己肯定感が低くなりがちな生徒が増えます。学習への自信を一度失うとその先も学習意欲はなかなか上がりません。高校生は本来多くのことを学ぶことができる時期です。なのに「どうせ学んでも……」と生徒たちが学習に関して後ろ向きになってしまうのは、本人にとっても、日本社会にとっても不幸なことだと思うのです。
私自身は、いろいろなタイプの学校があるのが理想だと思います。これだけ社会は多様性に富んでいるのに、学校だけが生徒全員に一律に同じような教育を施しているのは、気持ちが悪いことです。
面倒見の良い学校があってもいいし、ICTや芸術、スポーツに特化した学校があってもいい。自分の得意な分野を学ぶ学校に行って好きなことに打ち込めば、子どもたちが劣等感を感じることもなくなるでしょう。
何をして良いのか、悩む校長たち
私は今、学校のコンサルタントをしています。50代後半になって今後の人生を考えた時、校長ならその学校を変えることができるかもしれないけれども、ひとつの学校に限定されてしまいます。一方、校長という経験を生かしてコンサルタントをすれば、もっと多くの学校を変えることができる、と思ったのです。
会社にはヒエラルキーがあって、課長から部長と徐々に昇進していきますが、学校は教員から教頭、校長といきなり管理職になります。どうやって教職員を率いていったら良いのかロールモデルもおらず、私の経験からいっても校長は意外と孤独です。
校長の中には、時代にあわせた教育をしていかなければと思っても、具体的に何をどのようにすればいいのか、戸惑っている人も少なくありません。そこで私の出番です。私には学校現場の経験があるので、教員の気持ちがわかります。授業を見学し、教員の話に耳を傾けて一緒に今後の方針を考えます。
現在は7つの学校を担当していますが、地方の仕事も楽しみにしています。都市と価値観の違うところでやってみようと思ったからです。
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