あの「ミキモト」イメージがガラリと変わったなぜ 業界も驚いた斬新なコラボが契機になった

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昨年11月3日、「ラッキー アローズ」という新商品が発表された。謳われているのは「幸運のシンボルである“矢”をモチーフにしたジュエリーコレクション」。矢を放射状にあしらい、マザーオブパール(真珠の母貝)とダイヤモンドを散りばめてある円形のモチーフが、ペンダントやブレスレット、ピアスなどでデザインされている。

昨年11月に発売した「ラッキー アローズ」(撮影:尾形 文繁)

「弊社には1937年のパリ万博の時、大きな“矢車”をかたどったジュエリーを創って出品した歴史があり、以来、アイコンになっているもので、それをモダンに昇華させたのです」(中西さん)。長く愛され、使い続けられるロングセラーとして、これからのミキモトの顔となる存在にしていきたい。それくらいの思いを込めて世に送り出したという。

イメージビジュアルも斬新で、人種や性別、年代の異なる4人のモデルが「ラッキー アローズ」を身に着けている。表情や身体の動きと呼応して「ラッキー アローズ」が煌めき、それぞれの人としての個を引き立たせている。モノクロの画像に、ピンクのロゴのコントラストがチャーミングな印象を与えている。発表以来、着実な手応えを感じているという。

「変えてはいけないこと」と「変えていくこと」

老舗ブランドがトップとして輝き続けるには、伝統に裏打ちされたフィロソフィーを貫きながら、時代に先駆けた活動をしていくこと――いわば「変えてはいけないこと」と「変えていくこと」の双方のバランスを取りながら実践することが求められる。

この難しい課題について聞いたところ、「変えてはいけないことは、ブランドが持っているヒストリーと、業界のオピニオンリーダーであるというポジションです」と明快な答えが返ってきた。

ミキモトは、1893年に世界で初めて真珠の養殖に成功し、今年で131年を迎える老舗ブランド。創業者である御木本幸吉氏は、「世界中の女性を真珠で飾りたい」という夢を描き、ミキモトを立ち上げた。

当時、天然真珠は1000個の貝の中に1個あるかないかという大変希少な存在だったものを、養殖によって生み出すことはできないかと試行錯誤を繰り返し、世界で初めて実現したのである。

(撮影:尾形 文繁)
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