あの「ミキモト」イメージがガラリと変わったなぜ 業界も驚いた斬新なコラボが契機になった

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「きっかけになったのは、2019年に『コム デ ギャルソン』の川久保玲さんから声をかけていただいたことでした」と中西さん。コレクションショーにネックレスを使わせてほしいという依頼があった。

そしてランウェイで、男性がパールネックレスを着用するスタイルを披露し、大きな話題を呼んだのである。そこから話がさらに進み、コラボレーションしたジュエリーを創ることになったという。

最初に発表したのは、真珠にシルバーチェーンを合わせたネックレスで、業界内外からその斬新さが注目を集めた。「お客様をはじめ、取引先から『ミキモトさんがこういうことをやってくれるのを待っていた』と言われました」(中西さん)。

ミキモトが前に向かって挑戦している、時代を拓いている、そういうイメージを醸成することができたという。以来、3年以上にわたって両者のコラボレーションは続いている。ブランドのコラボというと、意外性や新奇性を狙った短期的なものが大半を占めるが、これはそうではない。互いのブランドの強みを尊重しながら、フラットなかかわりを築き、ともに進んできたという。

コラボの収穫は「新たな価値観」を提供できたこと

コラボレーションの成果として何より大きかったのは、流行の先端をいく商品という一過性の提案ではなく、ジェンダーレスでパールのネックレスを身に着けるという価値観そのものを提案できたこと。それによって、ブランドイメージは確実に高まった。

この時期はちょうどコロナ禍と重なっていた。身に着けて自己表現する、人が集う場で華やかに輝くのがジュエリーの本来的な価値の1つ。コロナ禍はそこをそっくり奪ってしまった。

「厳しい状況が続きましたが、一番悪い時でも年間で一定の売り上げがあったのです。支えてくれるお客様のためにもがんばらねばと、前に進む気持ちになれました」(中西さん)。コロナ禍が1つのバネになり、新しいことにチャレンジできた。厳しい時期に、いや、だからこそ未来に向けた投資を行ったことが、今にいたる道を築いたのだ。

コム デ ギャルソンとのコラボによって会社に変化が表れたと語る中西社長(撮影:尾形 文繁)
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