日本発ラグジュアリーブランドが生まれない理由 製品開発論研究者が語る日本流ものづくりの限界
さまざまな消費財の分野で、日本には優れたものづくり力や、才能あるデザイナー、そして消費者の目も肥えている。そこに目を向ければ、日本からラグジュアリーブランドが輩出される要素は揃っているように見える。しかし、なぜ日本から世界的なラグジュアリーブランドは生まれないのか。
先日、コロナ危機後に、破壊と変革を繰り返し、ますます成長する世界の各ブランドの最新動向をまとめた『世界のラグジュアリーブランドはいま何をしているのか?』が邦訳出版された。
同書に関連し、日本でのラグジュアリーブランドの可能性について、ロングセラーの経営書『新しい市場のつくりかた』の著者で、日本のものづくりやラグジュアリー分野にも造詣の深い、経営学者の三宅秀道氏に論じてもらった。
丁寧なものづくりメーカーからの相談
非常に丁寧なものづくりで知られる、あるバッグメーカーの社長さんから、「うちもいつか、ヨーロッパの有名ブランドみたいな、ラグジュアリーのブランドになれるでしょうか?」と聞かれたことがある。
これは正直、非常に答えに困る問いである。そうした問いにこちらも本気で向き合うとしたら、それこそ何日も説明した末に、最後の結論はこうなるだろう。
「社長さん、御社のスタッフの皆さんのものづくりは素晴らしいです、それは工場を拝見してつくづく実感しました。でも、御社がここからラグジュアリーブランドになるためには、今のままでは、非常に難しいです。
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