安河内:「今はまだ勉強中だから」「伝わらなかったら恥ずかしい」などと話すのを躊躇するのは、ナンセンスですね。
松村:はい。最初から日本語と同じようなレベルのことを伝えようとしても無理。正しく伝わらないのが当たり前と思えば、それなりの対応ができます。1回で伝わらなければ言い換えたり、ジェスチャーを加えたり、紙に書いたりすればいい。
また、正しく伝わっていない可能性があるという前提を持って、相手に理解した内容を言い直してもらうのも手です。間違っていれば訂正ができるし、正しく伝えるときに使う適切な言い回しを、相手から学ぶことが可能になるので。
安河内:「概要が伝わればOK」と割り切って英語を話すほうが、最初はいいというのは共感できます。このスタンスのほうが積極的になれるし、結果としてコミュニケーションをより多くとれる。ステップアップは徐々にしていけばいいんです。
松村:はい。ただ、「英語は伝わればいい」というのはスタート地点で、最終目標にするのは間違いだと思います。交渉や契約のための「正確で適切な英語」は存在しますし、そういったシチュエーションで不正確、不適切な表現は絶対に避けるべき。言葉の選び方次第で自分の立場が悪くなることもあるし、稚拙な言葉の契約書にはサインすらしてもらえない。たとえば、契約の場ではcanは「できるかどうか」という可否に関する言葉なので基本的に使わず、代わりに許可を示すmayを使用すべき。自分の経験や知識が露見してしまう場面は多々あるので、「今よりも上」を目指すべきだと思うんです。
スピーキング力は使いながらアップさせよう!
安河内:なるほど。ただ、そういった高度な表現は、その都度、現場で覚えていけばいいんですよね。
松村:そう思います。「私の英語って人に通じるのか?」が知りたくて英語の検定試験を受ける人もいると思いますが、それは実際に使ってみればわかること。使っていく中で自分のレベルを知り、必要なスキルを磨いていけばいいのではないでしょうか。
僕はこれからも胸を張って、決して流暢とは言えない、日本・シンガポールなまりの英語で、世界中の人とコミュニケーションをとり続けたいと思っています。ただ、「もう今の英語力で十分」とは、少しも考えていません。インプットした用例を何となく使っているので、自分の使う英語の文法が正しいのかどうか、いまだに自信が持てないんです。英文法を学びに、いつかは学校に行きたいです。
安河内:自分の英語に必要以上に卑屈にならず、かとって過信もしない。死ぬまで向上心と好奇心をもって英語と向き合っていくのが、英語のスピーキング力を高めるカギなのかもしれないですね。
松村:はい。ベタですが、最後までDon’t give up.の精神で英語と付き合っていってもらいたいです。
(構成:山本航、撮影:宮園厚司)
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