松村:ありがとうございます。大概、「面白いからもっと知りたい」と思う題材と、それを理解するための自分の英語力には、最初はすごい開きがあるケースがほとんど。だから、その距離を少しでも縮めるために足場を組んであげる必要がある。そこで、難しい単語を説明する機能など、付加価値をつけていったんです。
資金集めと英語学習サイトの目指すゴール
安河内:EnglishCentralは、松村さん自身の英語で苦労した経験が生きていますね。単語が覚えられるようになっているし、精聴と多聴の両方ができる環境が整えられている。
松村:最初から動画が楽しいという評価はもらっていました。ただ、楽しいだけでは飽きられてしまう危機感がありました。プラスして、「聞きとれるようになった」「きれいな発音で話せるようになった」という語学力の向上を実感として持ってもらわないと、ビジネスとしては成り立たない。
安河内:「ためになった」という気持ちを持ってもらうことで初めて継続してもらえるわけですね。
松村:はい。だから、英語が聞けるようになる、話せるようになるというサービスの設計には、心血をそそぎました。具体的には、第二言語習得や英語教授法の先生を採用し、アドバイスを受けながら、効果的な学習機能の構築を行いました。
安河内:開発にはそれなりの資金もかかりますよね?
松村:はい。そのあたりは、アランが長けているので、場所とタイミングについては彼にほぼ預けています。
安河内:開発できるだけの資金が得られても、宣伝費や維持費もかかります。
松村:そうですね。われわれのような教育系事業が、あまり宣伝費を投入するのは本質ではないと考えています。ですが、優れたサービスを構築するにも、やはり資金は必要です。実際にマーケットに出す際、どこから始めるか考えたとき、アメリカではなく、アジア、それなら日本からという方針があり、2010年に行った資金調達も日本メインで行いました。NTTインベストメント・パートナーズ、ブラザー工業、日本アジア投資など日本のベンチャーキャピタルのほか、韓国からはSKテレコムほか数社、米国からGoogle Venturesなど、結果的に日韓米の投資家から12億円超の資金を調達することができました。
安河内:潤沢な資金がありますね。これなら、さらに充実した学習サイトが作れますね。
松村:日本でもユーザーは増え続けていて、国内800大学のうち200大学で利用されています。社内では、世界で最も使われるサービスになるという目標を掲げています。そのためには、プロダクトの洗練が優先。世界の最先端の教授法などにも追随していく必要があります。引き続き製品開発には力を入れたいです。最終的に僕らが提供するサービスで英語を口に出すためらいが軽減できて、「これなら続けられるかも」と利用者に感じてもらえたら、言うことはありません。
安河内:最後に、英語で話すための肝となる鉄則を教えてください。
松村:スピーキングで最初に目指すべきなのは、「伝わればいい」レベルだということです。伝わらなければ何も始まりません。どのレベルまで達したかどうかは、相手の反応を見れば一目瞭然。なので、さっさと使い始めたほうがいい。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら