松村:6年です。その後、起業も考えましたが、その前にソフトウェア会社で当時ナンバーワンだった会社の仕事の仕方を学んでみたいと思って、マイクロソフトに転職しました。1年ほどいて、次は音声認識の開発をしているニュアンスコミュニケーションズという会社に行きました。
安河内:あ、Siriを開発した?
松村:そうです。ただ、僕がいたころはSiriはまだで、カーナビや携帯電話に音声認識を埋め込むといったプロジェクトの数々を預かる部署の責任者を務めていました。
安河内:ここまでのキャリアでも、すでに海外との交渉や多国籍のプロジェクトチームを率いて製品開発をされていますね。海外で学生だったころより、自分からコミュニケーションをとる必要性も増えたと思います。そんな松村さんが、英語を話すうえで大切にしている鉄則を、ずばり教えてください。
松村:英語を話すからといって、オーバーリアクションになって、無理に外国人になろうとする必要はない! 肩の力を抜いて、みそとしょうゆで育ったありのままの自分をさらけ出すことです。
安河内:日本人らしさを失わず、ということ?
松村:はい。多様性を理解し合うのがグローバルコミュニケーションだと思うんです。両手を広げて Oh really? How interesting!(えっ、ホント? すげーオモシロイ!)なんて純ジャパの昭和オヤジには無理ですから。“Oh ya?”(へー、そう/で?)のような、ちょっと突き放すニュアンスでも、「良好な関係は築けるから大丈夫」と言いたいですね。
安河内:日本語と英語を話すときでは、明らかに人柄が違うという人も目にしますが?
松村:すすんでやりたいのであれば、止めません。ただ、純ジャパの昭和生まれの中年男の自分が大きなジェスチャーをすることには、とてつもない違和感がある。だったら無理にしなくていいという話です。英語ふうのニックネームも、いらない。以前は、「どうして自分の氏名を、英語の都合で姓名を入れ替えるんだ」と抵抗していたほどです。
安河内:頑固オヤジですね(笑)。
松村:否定できません(笑)。でも、英語を使うときでも、日本らしさというか自分らしさを持つのは、気持ちのうえで楽になれます。英語は他人の土俵なので、そこで100%勝負するのは大変。だから、日本的な部分は大事にしたほうが疲れない。少なくとも僕はそう考えています。
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