会社と女性が「囚人のジレンマ」に陥るワケ 「女性はすぐ辞めるから育てない」は合理的?

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(写真: Palto / PIXTA)
昨年、『「育休世代」のジレンマ』(光文社新書)を発表し、ワーキングマザー界に鮮烈にデビューした中野円佳氏。連載6回目の今回は、女性たちの声とともに経済学者や海外企業の動向も取材してきた著者が、なぜ日本のカイシャで女性が不利な状況に置かれてきたのかについて考えます。
※1回目記事:育休世代のカリスマが、会社を"降りた"ワケ 
※前回記事:男女ミックス試合に勝つ企業、負ける企業

 

こんにちは。女性活用ジャーナリスト/研究者の中野円佳です。昨今、女性管理職目標を立てる企業が急激に増えています。当の女性自身からもうんざり、という反応も少なくありません。今回は、なぜ女性を引き上げる必要があるのか整理してみたいと思います。

今回は「囚人のジレンマ」問題について取り上げます!

前回記事で、 ダイバーシティの効果について触れました。様々なチーム、プロジェクト、意思決定に多様な経験の持ち主が入ってくることは重要です。でも、そのために数値目標を設定して、強制的に特定の属性を引き上げることは様々な軋轢を生みます。

『育休世代のジレンマ』という本を出版してから、企業に呼ばれたり個人的な集まりなどでお会いしたりして、女性から話を聞くことも多いのですが、管理職などへの登用については次のような吐露を聞いたことがあります。

「プロジェクトに抜てきされて恵まれていることは分かってますし、貴重な機会だということも重々承知です。でも正直言って素直には喜べないですよね。女性比率の数値目標達成にちょうどいいから抜てきされた、としか思えません」

「女性は子どもを産むと使えなくなると思っている組織は、私みたいな、いかにも結婚しなそうな女を採って使い倒せば、手っ取り早く目標達成に近づきますよね。私だって家庭を持ちたいですけど、そもそも出会う時間がないんですよ」

「実は自分自身の関心とかやりたいと思っている分野は、会社に求められるのと全然違うところにあるんです。でも部署としては他に管理職候補者もいないし、きっと女性枠として今後も私を手放せないですよね。そう思うとこの会社ではやりたいことができない気がします」

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