働く母の「3大・生存戦略」を検証する 「育児中=半人前」扱いを変えるには

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 昨年、『「育休世代」のジレンマ』(光文社新書)を発表し、ワーキングマザー界に鮮烈にデビューした中野円佳氏。大反響だった前回に続くこの2回目では、働く女性の生き残り戦略について検証します。
 女性が本当に働き続けられる社会にするには、意思決定層に占める女性が単に増えるだけではダメで、育児や介護といった「ケア責任」のある“男女”が増え、企業社会の構造そのものを変えていくことが必要だと中野氏は言います。
※前回記事:育休世代のカリスマが、会社を"降りた"ワケ 

なぜ、それでも「昇進」することが必要か?

こんにちは、女性活用ジャーナリスト/研究者の中野円佳です。昨年9月に『「育休世代」のジレンマ』という本を出しました。その本の中で、私は、子育て中の会社員ママたちが陥るジレンマ、つまり退職するか、働く意欲を冷却させてぶら下がり社員になるかに二極化しやすいということを指摘しました。

こんにちは、中野円佳です

その残念な構造を変えるためにも、会社員ママが社内で自ら「あきらめずに戦う」パイオニアとなって、現在のルールを変えていくことが重要、と書きました。ここで目指すところは、究極的には、会社の意思決定にかかわれるレベルまで上がっていくことです。

なぜ、組織の中で上がることが必要か。以下の3つの理由があります。

① 通常、日本のカイシャでは、やりがい、与えられる成長機会、昇進、報酬は全部セットだから。競争に乗らないとそれらが得られにくくなり、子どもとの時間を削ってまで働き続ける理由を失いやすい。

② 多くの日本のカイシャでは女性が声を上げても「すぐ権利主張をする」などと取り合ってもらえないから。まず実績を上げてから意見を言わないと聞いてもらえない。

③ 意欲を持てあまして会社を辞める人と、意欲を冷却させながら残る人に二分化すると、育児中社員への偏見が強化されたり、そうでない人との対立が起こったりして、既存の社会が変わらないから。

重要なのは、誰か特定の個人が「ひとつの会社で働き続けられること」だけではなくて、いくつものまとまった動きによって「長期的に組織・社会が変わっていくこと」です。前回記事で書いたとおり、私自身は個人としての前者の行動はあきらめましたが、それは後者のマクロな変化にもっと直接的にかかわれそうな道を見つけたからでもあります。

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