働く母の「3大・生存戦略」を検証する 「育児中=半人前」扱いを変えるには

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上司が「期待してるんだからやってみろ」「失敗してもいいから」と任せるなど、会社として彼らが挑戦できる素地を整えることはできると思います。でも、自分で手を挙げてアピールしてキャリア形成していくというのは、けっこうハードルが高い。また、長時間労働×高い生産性のライバルに勝てないという難点もあります。

 ではCのダイバーシティ戦略が有効な戦略でしょうか。

ダイバーシティから生まれる視点

ワーキングマザー界を騒然とさせた中野さんの著書『「育休世代」のジレンマ』(光文社新書)

育児をしているから、介護をしたことがあるからわかる視点というのは、必ずあると思います。必ずしもそうした製品やサービスの担当ではなくても、どんな話題や意思決定でも、差し挟む視点に価値があると思います。

私自身も経験があります。ある会議で、政策の経済効果についての議論をしていたとき、麻生太郎財務相が提案した「大企業の交際費の損金算入」でどれくらい飲食業界が潤うのかについて、何人かがああでもない、こうでもないと話していました。

そこで私が口に出したのが、「安倍政権は女性活躍と言っていて、そのためにはお父さんたちには早く家に帰ってもらわないといけないのです。サラリーマンたちにどんどん会食におカネ使ってもらおうというのは、政権の方向性と矛盾していませんか」ということ。

大したことは言っていませんが、その場にいた私以外の全員は“17時に退社した後の世界”を知らないので、「そうか、その視点はなかった」と言ってもらいました。

今まで、女性たちは女であることを意識させず、いかに男性と同じ考え方ができるかで組織の中でのし上がってきたと思います。育児などのケア責任を抱えている人たちは、その大変さを隠し、できるだけ何ともないフリをしてきたはずです。

この戦略が使えるかどうかは職種によるかもしれませんし、必ずしも仕事上の成果や評価に直結はしないかもしれません。でも、「あなたたちには見えていない世界が見えている」ということを前面に出すことで、仕事上の価値につなげられたら。

「この会議にはあの人もいたほうがいい」「新しいプロジェクトチームには、育児中の社員も必ずひとりは入れよう」となっていったら、企業側も、ケア責任のある人を登用することに意味を感じてくれるのではないでしょうか。

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