誰かのケアを担っている個人が「育児中=二級労働者、半人前」というイメージを覆して、会社の階段を上がっていくことはできるのでしょうか。既存の長時間労働前提・総合職の枠組みで考えるとすれば、私は主に、次のような3つの戦略があると思います。
ケア責任のある人がのし上がる3つの戦略
「名誉男性」という言葉があります。人種差別がされている状況下で、本来は差別される側の人種でありながら白人と同等に扱われた人たちのことを「名誉白人」と呼んだことが語源。これを男/女に転用した言葉です。「名誉男性」的行動は、ほかの女性たちを蹴落とすことになるので、基本的にフェミニストたちから批判されてきました。
女性がA戦略を取る場合、これはまさに「名誉男性」戦略です。均等法第一世代の中には「後輩に同じような思いをさせたくない」と、仕組みを変えようとしてくれる女性もいると思います。
でも名誉男性化しなければ残れなかった世界で、歯を食いしばってきた自負があればあるほど、「今の若い人には覚悟が足りない」「私なんか子どもを深夜まで預けてでも働いてきた」と言ってしまう人も多い。
若い世代は若い世代で、先輩女性たちはそうせざるをえなかったのだという背景を知る必要があると思いますが、“鉄の女”伝説を聞いて「ああはなりたくない」と引いてしまう。そうして世代間断絶が起こり、続く人がなかなか出てこなくなったりもします。
Bの生産性戦略の難しさについては、前回の記事で書きました。総合職という幅広い業務をローテーションする前提だと、得意分野で生産性を上げて評価され続けるというのが難しい。
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