川鍋一朗氏「自動運転は5年後に浸透」と思う理由 自動運転全盛でもタクシー運転手は必要に

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川鍋一朗 タクシー
タクシー業界の現状と展望について語る川鍋一朗氏(筆者撮影)
111年の歴史を紡いできたタクシー業界は今、激動の時代を迎えている。コロナを原因に全国で2割程度のドライバーが離職し、タクシー不足の声が聞こえて久しい。そんな中、突如湧き上がったライドシェア解禁の是非――。そして都市部や観光地では、2024年春から2種免許を持たないドライバーの営業を認める規制緩和も検討されている。
公共交通機関でもあるタクシーは今後、どのような道を歩んでいくのか。日本交通会長で、全国ハイヤー・タクシー連合会の会長である川鍋一朗氏にタクシー業界の今と未来を聞いた。

極端なタクシー不足とはいえない面も

――タクシー不足の声が上がっている現状をどう捉えていますか。

タクシードライバーの人数は確かに長期的には減ってきています。ですが、今指摘されているタクシー不足はやはりコロナの影響が大きくて、5類に分類されてまだわずか半年。急速なインバウンド需要の伸びもあり、供給回復が追いついていない面があります。

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今の一瞬を切り取ると、たしかに供給不足はあり、我々の努力不足の面もある。そこはしっかりと認めたうえで、本当に全国的なタクシー不足なのか、という客観的な分析が必要だと捉えています。実働率を見ると、東京都特別区の実働率は47.1%。もっともクレームが少ないとされる43~48%に収まっており、東京駅や羽田空港など一部を除けば、都市部は極端な供給不足とはいえない面もあります。

観光地もハイシーズンを除けば、供給不足とは言えないと分析しています。客観的なデータからハイシーズンで明らかに需給が足りていないニセコなどの観光地には、東京からスポットで乗務員を派遣するなどの施策も実施しています。

――乗務員不足は改善傾向にありますか。

今年3月に約23万2000人まで落ち込みましたが、以降は回復傾向にあり現在は3000名ほど増加しています。その理由は人流の回復と、都市部の運賃改定が行われ月収増加につながったこと。地方ではまだ厳しい状況もありますが、タクシー協会としては採用の成功例を共有するなど対策は行っています。

特にここ数カ月の間で採用エージェントの動きが活発で、バスやトラック業界からタクシー業界への注力が目立ち、増加につながっています。そういったファクトにも目を向けてほしい、という思いはあります。

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