成田空港周辺でうごめく「白タク」の素性を追う 「タクシーの現場はカオス」 ①東京・成田編
ここではノンフィクションライターの栗田シメイ氏が、東京・成田と大阪という、今のタクシーを象徴するエリアを取材。まず第1弾として、成田国際空港で暗躍する違法の「白タク」の実態について、最新事情をリポートする(②大阪編はこちら)。
3割以上の車両が動いていないという現実
都心のタクシードライバーにとって、利潤を得やすいと言われる場所は存在する。
例えば、終電後の銀座や六本木などは県をまたいだ長距離移動も多く、1乗車で2万円を超えることも珍しくないなど、総じて売り上げが高いとされてきた。またそれらの地域は、ベテランドライバーの“聖域”と認識されている節もあった。
しかし、2023年から「ドライバー不足」が顕在化したことで様相は一変した。慢性的な人員不足を背景に、タクシーの稼働台数が大幅に減少しているからだ。
1月26日付の「交通界速報」によれば、東京都特別区の2023年12月の実働率は69%。休車特例措置による抹消や車検切れを合わせると、休車は実に1366台に上る。3割以上の車両は今なお動いていない。
受給が供給を上回ったことで、街中での”流し”、駅やターミナルでの“付け待ち”と呼ばれる営業スタイルも変わりつつある。
厳密に言うなら、その必要性がなくなりつつある、という表現が適切かもしれない。タクシー不足の影響で、配車予約やアプリ配車で客を確保でき、場所の恩恵を受けなくてもドライバーの売り上げが立つ状況にあるからだ。
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