成田空港周辺でうごめく「白タク」の素性を追う 「タクシーの現場はカオス」 ①東京・成田編

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「12月の1日平均売り上げは7万円を超えました。22日間の夜勤勤務で、です。業界で働きだしてから今が最もいいのは間違いないですね」

1月中旬に六本木周辺で出会ったドライバーの声色は明るかった。1~2月は一般的に閑散期とされるが、ある大手タクシー会社で働く勤務歴5年のAさんによれば、月間の売り上げが100万円を超えるような猛者も続出しているという。

その理由を尋ねると、値上げと稼働台数減に集約される、とも明かす。新橋駅東京駅を訪れても、やはり現状について肯定的な意見が目立った。都内のあるタクシー会社の代表は、「1台当たりの売り上げは平均して10%以上伸びている」と述べる。

全国ハイヤー・タクシー連合会によれば、ドライバー不足の底は2023年3月の約23万2000人だった。これはコロナ前に当たる4年前から約20%減になる。現在は緩やかな回復傾向にあるが、まだ昼頃や夕方にはタクシーが捕まらない、という場面に遭遇する。その象徴的な場所の1つとして、メディアでも取り沙汰されたのが羽田空港だった。

日本人に代わって成田空港に現れたのは・・・

違法で危険な白タクへの注意を喚起している、成田空港の表示(撮影:栗田シメイ)

昨夏からのインバウンド増加に伴い、空港乗り場ではタクシー待ちの観光客が列を成すようになった。

ただ、実際に空港を2度訪れたが、列をなす人はほぼ見当たらず、現在はずいぶん落ち着いたようにみえた。客待ちをしていた運転手のBさんは羽田の現状をこう解説する。

「深夜2時以降や国際便の兼ね合いでお客さんが集中するときは、今でも多いときは100人くらい並んでいるよ。でも、それは週のうち1~2度、深夜にあるかないか。最近、深夜便の人は、あえて近場のホテルに移動してから、配車アプリで呼ぶ人が増えている。乗り場の構造的な問題もあるね」

タクシープールに移動すると、100台以上の車両や運転手が待機していた。10年近く主に空港中心で営業している、というCさんの証言は興味深かった。

「羽田のタクシーが足りないと言われる理由は、都内のタクシーが減ったから。夕方から夜にかけては、都内にいるほうが間違いなく稼げる。だから運転手が羽田に来なくなったということ。定額料金だと、都心部から行っても1万円以下。それなら、ドライバー心理としてわざわざ移動時間を使って羽田に行くのは効率が悪い。羽田はそういう場所になった、ということです」

一方、成田国際空港では、深刻な問題が表出していた。

それは、自家用車に乗せて有料で送迎する、外国人向けの違法な”白タク”の急増だ。筆者は定期的に成田空港の白タクを取材してきたが、空港で話を聞いても「過去最高水準に白タクが増えている」という意見を耳にした。

以前はアプリ上で現地決済した利用者を駐車場に誘導し、こっそり営業するというスタイルが多数派だった。しかし現在は、一般車の乗降車レーンで堂々と顧客を乗せる姿を何度も目にした。さらにタチの悪いことに、大半を占めていた中国系だけではなく、ほかのアジア系やヨーロッパ系の白タクまで出てきているというのだ。

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