「ライドシェア」の新旧対立、それぞれの切実事情 市場が拡大する中、解禁国では規制強化の流れも

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ライドシェア 観光公害
アメリカではライドシェアが普及、ウーバー社の時価総額は13兆円を超える(写真:ロイター/アフロ)

「結論を先送りすべきではない。早急な対応が必要だ」

菅義偉前首相がタクシー不足によるライドシェアの解禁を唱えて以降、日本のメディアや世論でも議論が交わされる機会が増えた。

タクシードライバーの数は、訪日客の増加に反比例するかのように減少。地方では、路線バスの減便や廃止が目立ち、公共交通機関に「空白地」が生まれ始めている。ついには岸田文雄首相も、10月23日の所信表明演説では「ライドシェア解禁を検討する」と述べた。

しかし、解禁には多岐にわたる障壁やリスクが存在する。本稿では、今のタクシー業界と政治との“綱引き”の現状を中心に見ていきたい(※ライドシェアは、同じ目的地へと乗客が同席する相乗り型と、自家用車を使用したアプリによる配車型があるが、実用性の観点から、アプリ配車型を主題にする)。

ライドシェアは巨大産業

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筆者は海外では必ずライドシェアを利用する。母国語が通じない観光客の立場では、スマホ1つですべてが完結し、明確な料金設定、車種が選択できるなど便利なことこのうえないからだ。

ライドシェアは2010年にウーバー・テクノロジーズ社がサービスを始めて以降、市場は急拡大。ウーバー社の時価総額は13兆円を超えている。これは日本の上場企業の時価総額5位キーエンスに匹敵する水準だ。

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