「ライドシェア」の新旧対立、それぞれの切実事情 市場が拡大する中、解禁国では規制強化の流れも

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もう1つは、乗客とドライバーの安全確保だ。ドライバーの2種免許の有無や、乗車前の点検作業などの法整備を含め、乗客の安全を担保していく必要がある。

さらに自家用車で乗客を乗せるリスクは、当然ドライバー側にも生じる。筆者も海外でライドシェアを利用した際に、「突然暴れだすなど迷惑行為をする客を乗せたことがある」といった話を散々聞かされてきた。

二元論ではない議論を

ライドシェアが伸びている国は、サービスが浸透しているゆえに専業ドライバーも多く、稼げるという土壌があるからだ。もし日本で導入されても、同じような状況となるまでにかなりの時間を要するだろう。また、仮に兼業ドライバーの割合が増えた場合、それこそ安全面で問題が起きる可能性も否定できない。

とはいえ、タクシーやバス不足という交通インフラの問題が表面化している今、ライドシェア導入の可否について議論することは重要だ。禁止か解禁かといった極端な二元論ではなく、特に地方など交通の空白地帯を作らないために、交通手段を総合的に考えるといった視点が必要ではないか。

タクシー ライドシェア 観光公害 オーバーツーリズム
タクシー不足による交通マヒが深刻化している(筆者撮影)
栗田 シメイ ノンフィクションライター

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くりた しめい / Shimei Kurita

1987年生まれ。広告代理店勤務などを経てフリーランスに。スポーツや経済、事件、海外情勢などを幅広く取材する。『Number』『Sportiva』といった総合スポーツ誌、野球、サッカーなど専門誌のほか、各週刊誌、ビジネス誌を中心に寄稿。著書に『コロナ禍の生き抜く タクシー業界サバイバル』。『甲子園を目指せ! 進学校野球部の飽くなき挑戦』など、構成本も多数。南米・欧州・アジア・中東など世界30カ国以上で取材を重ねている。連絡はkurioka0829@gmail.comまで。

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