「ライドシェア」の新旧対立、それぞれの切実事情 市場が拡大する中、解禁国では規制強化の流れも

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しかし、こと日本では、「白タク行為(国の許可なく白ナンバーのまま運送業を行う違反のこと)」とされ、ライドシェア解禁の実現には高い壁が立ちはだかっている。2015年にウーバー社が福岡で実証実験を行った際も、大規模なデモが起こり、国の指導により中止となった。

日本でも、登録されたタクシー会社がUberアプリを導入して配車サービスを行うことは可能だが、これはライドシェアではなく、あくまで配車アプリとして活用していることになる。

導入したタクシー会社は、同業者から「裏切り者」と批判されるなど、根深い拒否反応も残り、日本人の利用者は少ない。一方で、「外国人の配車利用はほとんどがUberアプリ経由です」(観光地のタクシー会社代表)という現実もある。

与党内でも反発の声

筆者はこれまで何人かのタクシー・ハイヤー議連の国会議員や自民党議員に話を聞いてきたが、ライドシェアに関しては明確に「ノー」という反応だった。岸田首相周辺で解禁への動きが加速しているが、与党内からは衆議院選挙も見越して反発の声も聞こえてくる。こうした状況で、すんなり進むとは考えにくく、判断を誤れば岸田政権にとっての“爆弾”にもなりかねない。

タクシー会社の代表や現場のドライバーとライドシェアの話をすると、必ず「安全性を理由に大反対」という結論になる。しかし、タクシー会社がこれほどライドシェア解禁に難色を示す本当の理由は、導入国で多くのタクシー会社が経営危機に追い込まれたからだ。

ライドシェアは北米で普及し、一部のアジア地域でも拡大しているなか、韓国やドイツでは労働組合の大きな反発があった。また、イギリスやフランスなどヨーロッパでも、規制強化の流れが強まっている。需要がある都市部での対応に限定されていることも特徴だ。もし日本でライドシェアが解禁されても、おそらく地域、時間帯、稼働エリアなどの制限が課されるであろう。

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