川鍋一朗氏「自動運転は5年後に浸透」と思う理由 自動運転全盛でもタクシー運転手は必要に

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――世界的にも自動運転の旅客輸送が進んでいくと。

今の技術の進歩を考えるとそうでしょうね。ただし、自動運転のためには信号など都市単位でのインフラ改善は必須で、それが現状では1都市あたり150億円程度といわれています。その高額なコストがネックになってくる面はあります。コスト面を考慮すると、日本での実証実験は都市部から行われていくのは間違いありません。

――日本にその波が訪れるのはいつ頃でしょうか。

そう遠くない未来、具体的には5年後の2029年には浸透していてもまったく不思議ではないところまで来ています。部分的な実験や導入であれば、今後の3、4年間で最初の波が訪れる可能性は高い。ホンダ社とGM社が提携した自動運転タクシーサービスを2026年に開始することも発表されており、お台場で運行が予定されています。

例えば世田谷区の細い路地などを完璧に運転できるかという疑念を私自身も持っていましたが、技術の進歩でカバーできそうなところまで来ており、そういった一部の地域を除けば日本のほとんどの都市で可能になるでしょう。

介助や子どもの送迎など乗務員は必ず必要に

――自動運転全盛の時代になった場合でも、タクシー乗務員は必要でしょうか。

日本交通の若い社員たちに言っているのは、「どんな時代が来てもタクシー乗務員の仕事はなくならない」ということです。ランニングコストやインフラ整備も含め、一気にタクシー業界が自動運転にシフトすることはありえません。

観光や介護や介助、お産、お子さんの送迎なども含めた、生活や地域に密着した乗務員という付加価値が問われる場面はむしろ増えてくる。地方では鉄道が減便され、バスもどんどん消えていくという流れは避けられないところまできているので。

利用者のためにサービス改善を図り社会公共福祉に寄与する、というタクシー業界の定款からも乗務員は必ず必要。自動運転が近未来に迫っているからこそ、いかにタクシーの付加価値をお客様に認識していただくことが重要になってきます。

栗田 シメイ ノンフィクションライター

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くりた しめい / Shimei Kurita

1987年生まれ。広告代理店勤務などを経てフリーランスに。スポーツや経済、事件、海外情勢などを幅広く取材する。『Number』『Sportiva』といった総合スポーツ誌、野球、サッカーなど専門誌のほか、各週刊誌、ビジネス誌を中心に寄稿。著書に『コロナ禍の生き抜く タクシー業界サバイバル』。『甲子園を目指せ! 進学校野球部の飽くなき挑戦』など、構成本も多数。南米・欧州・アジア・中東など世界30カ国以上で取材を重ねている。連絡はkurioka0829@gmail.comまで。

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