川鍋一朗氏「自動運転は5年後に浸透」と思う理由 自動運転全盛でもタクシー運転手は必要に

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――地方の状況は変わるでしょうか。

人材獲得やタクシー不足の解消という動きで考えると、都市部よりは回復のペースは遅くなってしまいます。そんな中でネックになっているのは、やはり初任者研修の長さ。特に今は一部の都市部以外では、教習所の混雑もあり、「研修の長さや複雑さがネックとなり採用までつながらない」という声も多く聞いています。

地方のタクシー会社の努力不足の面があることは否定しませんが、営業制度も変わりつつあります。行政による赤字補填がないタクシー業界では、「最低車両数5台で専用の施設が必要」という営業所の設置要件に伴い、需要がない地域では撤退を余儀なくされてきました。それが11月から1台での車両台数へと緩和され、営業所設立のハードルが下がったことで、地方の中でのタクシーのあり方という概念も変化していくでしょう。

自動運転の時代が到来するのは想定以上に早い

――自動運転の実証実験が世界的にも進んでいます。

私自身、もともと自動運転は日本ではまだまだ時間を要するだろうという考え方でした。ところが、今年8月にアリゾナ州フェニックスで「Waymo One」に、ミシガン州アナーバーで「May Mobility」に複数回乗車し、視察やCEOと意見交換したところ、その認識を180度変えざるを得ませんでした。

アメリカにおける自動運転技術の進歩は著しく、乗車も非常に快適で心底驚かされました。ほぼ間違いなく、3~5年後にはタクシー業界も自動運転と向き合っていく、運送業というくくりで見てもそうなるであろうという確信を持ちました。おそらくタクシーの現場でも、導入後は毎年1割ずつほどのペースで、車両が入れ替わっていくのではないでしょうか。

川鍋一朗 タクシー
アメリカで自動運転技術を視察する川鍋氏(写真:川鍋氏提供)
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