働く人が身につけたい「自己ブランディング」方法 ブランディングデザイナー西澤明洋さん直伝

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
「COEDO」は、西澤さんが20年近くブランディングデザインを担当している(撮影:梅谷秀司)

実際に西澤さんは数々のブランディングデザインの仕事で、サービスや商品のリブランディングを成功させてきた。

「商品やサービスは本質的には何も変えていないのに、ブランディングデザインによって唯一無二のブランドとなったクライアントの例があります。それが協同商事コエドブルワリーさんの『COEDO』です。

実はCOEDOビールはブランドリニューアル以前も人気でした。それが地ビールブームです。ところがブームの終焉とともに、売り上げが下がってしまっていた。それをどのように立て直すかということを社長の朝霧重治さんが考え、私は2005年からブランディングデザイナーとしてそのリニューアルに伴走しています。

今ではCOEDOビールは世界的に人気のブランドに成長していますが、それは市場の変化にしっかり対応したブランディングの結果なのです」                

COEDOビールはどうやってピンチを切り抜けたのか

今まであった需要が急になくなり、ビジネスが立ち行かなくなることは、これからの時代、多くのビジネス領域で起こりうる。COEDOビールはいったいどうやってそのピンチを切り抜け、人気ブランドとなったのだろうか。

「大前提として、以前からCOEDOビールは一級品でした。職人仕込みのビールは、リニューアル前よりドイツ大使館のパーティードリンクに選ばれる程の品質。それが売れなくなってしまったのは環境要因以外には原因はないということで、社長の朝霧さんはリポジショニングを目指されていました。

当時の地ビールとは、その土地のビールだから価値があるということで、言ってしまえば『お土産』です。しかしCOEDOビールの本質は、世界に打って出られる品質のビールなのですから、単なるお土産以上の価値をアピールできるはずだと、朝霧さんは考えられたのです。

朝霧さんは同社が本質的に大切にしてきた人間起点のものづくりやサステイナビリティーへの再評価が世界で進みつつあることに気付きました。クラフトマンシップやSDGsの理念を背景にしたムーブメントの1つに『クラフトビール』があるわけです。そこでCOEDOは日本で初めてクラフトビール宣言をしたのです」

ロゴなどのビジュアル面だけでなく、パッケージやさまざまなコミュニケーションアイテムを担当している

新たな需要を開拓する際に、日本という小さな市場にとらわれず、世界的な視野でビジネスを展望することが必要だ。朝霧さんと西澤さんは、当時欧米で広がりつつあったクラフトビールのムーブメントを本質的に捉え戦略的に市場創造に挑んだわけだ。

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事