試行錯誤する中で冷凍したものを提供する方式も検討しましたが「鍋を振る文化は残そう」(鈴木さん)という観点から、採用しなかったといいます。ご飯の味付けはシンプルなものを目指して改良を重ねており、しょうゆや塩などのバランスを調整しながら、他のメニューや具材の卵・肉に合うようなものへと調整しています。
1店舗だけ美味しくても意味はなく、全国で均一に美味しい味を提供することを求められる……そんな、チェーン店ならではの苦悩を背景に、さまざまな改善があったことがわかります。
シンプルな具材に潜む意外すぎるルーツ
具材は卵・ネギ・肉とシンプルながら、お話を聞く中でチャーハンに対する深いこだわりが見えてきました。
一般的にチャーハンの肉には焼き豚・チャーシューが多いところ、日高屋は鶏胸肉(国産)を使用しています。以前は冷やしメニューにも流用されていたそうですが、現在はチャーハン専用。肉の旨みが引き立つように、煮込み時間などに工夫を凝らして生まれた、甘じょっぱい味が特徴です。
そのルーツは、タイ料理。日高屋とタイ料理は、一見なかなか結び付きません。鈴木さんによると、日高屋の開業以前にタイ料理の業態を展開していたことがあり、その際に考案していた料理から着想を得ているそう。
「『甘じょっぱい味がチャーハンに応用できる』と高橋がひらめいて、長年温めていたようです」(鈴木さん)と、商品開発を一手に引き受けてきたという高橋均前社長の逸話も明かしてくれました。
また、卵は香りを非常に重視しており、ご飯と一緒に炒める際、香りがしっかりと広がるような独自の炒め方をしているといいます。具材が少なめだからこそ、そのそれぞれに非常なこだわりを持ってチャーハンを作っていることがわかります。
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